雑学のススメ No.22(06.4/5)

「かんぱち雲」をご存知ですか
〜環境破壊に対する空からの警告〜
 秋の空には雲ひとつない、抜けるような「青空」がよく似合います。
 運動会や遠足には申分ないのですが、空の表情となるといささか「趣」にかけるところがあります。それに比べ空に浮かぶ「雲」は、千変万化の表情を見せてくれます。動物の姿や人の顔に見えたり、思わず舌なめずりをしたくなるようなアイスクリームに見えたり、時間の経過によって形を変える一瞬の変化を楽しむことが出来ます。

 自然との触れ合いを大切にした太古から、人間と雲との間には切っても切れない関係があります。「夕焼け雲」をみて明日の天気を予想したり、雲の動きから嵐の接近をいち早く察知し、漁船の遭難を回避することもその一つです。自然の恩恵を受け海で働く人々にとって「雲」は大漁の予兆であったり、身を守る知恵であったりします。「鰯雲(いわしぐも)」「鯖雲(さばぐも)」「鱗雲(うろこぐも)」など「魚」に関係する雲が沢山あることからも伺えます。

 それでは「かんぱち雲」と呼ばれる雲があるのですが、どんな雲かご存知でしょうか。
「魚」の「かんぱち」を思い浮かべますが、そうではありません。正しくは「環八雲」と書きます。1970年ごろから観測され始めた新しい「雲」なのです。

 「環八」は大田区羽田空港三丁目を起点として北区岩渕町に至る、東京の都心部の縁を囲むように走る、主要道路「環状八号線」のことです。この道路の上空に、「雲」が一列に並ぶ現象が「環八雲」です。

(1) ヒートアイランド現象によって、早朝から都心
の気温が郊外に比べ、数度高い夏の日です。
(2) 太陽が昇って東京湾から西側の都心に向かう
「海風」が吹き始め、暖まった都心の空気が周辺の「環状八号線」沿いに流されます。
(3) さらに東京湾の西隣にある相模湾から北上する大気の流れが、東京湾からの大気の流れとぶつかり、行き場を失った流れが向きを変えます。
(4) 加えて「環状八号線」上には、雲が出来やすい条件が備わっています。自動車の排気ガスに混ざっている「浮遊粒子状物質」を中心に、空気中の水蒸気が集まり雲の粒になります。

 「環八雲」の正体は都心を覆う汚染された空気が「環状八号線」付近に集まり、ここで上昇気流となって発生している「雲」なのです。「環八雲」は大都会「東京」の発展を象徴する雲であり、「ヒートアイランド」と「大気汚染」という、都会の環境変化が複合して生み出した「環境汚染雲」と言うことが出来ます。
 都市近郊の空に浮かぶ不思議な雲の列は、私たちが「自動車の排気ガス」やビル・舗装道路からの放射熱さらに日常生活から出る「ゴミの焼却熱」で大気を汚し、気象を狂わせることを教えています。
 「環八雲」は「環境破壊」という人災に対する空からの警告なのです。
その原因の元をただせば、私たちが便利さを求め続け、資源をどんどん使い捨てにする生活を続けてきたからなのです。これからの私たちは「環八雲」の発生を抑え、根絶する努力を続けなければなりません。

(塚本治弘著「環八雲ってどんな雲」より)
 「環八雲」を発生させる「ヒートアイランド現象」は東京だけの問題ではありません。名古屋・大阪のほかに・広島・福岡・京都・仙台でも同様の現象が観測され、全国に広がっており、ようやくこの問題に正面から解決しようと色々なアイディアが出され試行され始めました。
(1) 舗装道路「打ち水」作戦
(2) 緑化運動(屋上庭園・駐車場の芝生化・公園・街路樹)
(3) マンションを霧の壁で覆う作戦・店舗の外壁をコケで覆う作戦
(4) 焼却ゴミの削減
(5) 路面ヒートを低減する舗装  などなど

 環境を悪くしている原因は沢山ありますが、環境問題に取り組むには私たち一人一人が、毎日の生活を足元から見直すことから始まります。